btです。
レビューのフォーマットを統一しようと色々考えていましたが良い方法を思いつかなかったので項目だけ統一して順次書き直していくことにしました。
Sleek CT6とUltimate Ears 4pro比較レビューの正式版を予定していましたが、まずはそれぞれの正式レビューを書いてからにします。
というわけで、Sleek AudioのカスタムIEM CT6のレビューです。
主観ですが、1〜10の数字で評価をしています。あくまで参考ですので、これをアテにするのではなく、他のカスタムとの(私の感じ方の)比較用と思って下さい。
10が最高、7.5がかなり良い、5が普通、3はかなり微妙、2は致命的、1は窓から投げ捨てる、といった感じです。
■概要
・名称 CT6
・価格 $349(アートワーク等の有料オプション有、ケースに名入れは有料)
・購入 Sleek Audio直販オンラインストア
・ウルトラワイドバンド フルレンジシングルBA(メーカー不明。Sonion系の音に思えるが、再生能力的にWBFKスペシャル版?)
・シェル材質がブラックライト反応タイプのCT6 Auraも発売中
音質を自分好みに設定できるVQシステム搭載のユニバーサルIEM、SA6のカスタム版という位置づけで、初期の$299テスト販売後に$349にて正式販売されました。カスタムIEMとしてはおそらく唯一の注文時に音質の設定できるのが特徴です。ただし、ユニバーサル版と違い後から変更は出来ません。ケーブルは独自コネクタタイプで、ユニバーサル版と共通です。
コネクタ部分は360度回転するので、耳の後ろを通す装着も一般的なイヤホンのように垂らす装着も両方出来ます。ケーブル分岐が異常に長いのと、しなやかではありますが細くしなやかすぎるので逆に扱いずらい気もします。
左右シェルとプレートの色はサンプルからそれぞれ指定できますが、カートでは左右同じしか選択できません。ですので、左右異なる色を希望する場合はメールする必要があります。また、アートワークはSleek Audioのロゴ等予め用意されているものは無料でつけられます(色は白か黒のみ)
最大の特徴の音質チューニングですが、Bass - ± +、Treble - ±、+の9通りでこちらはカートで選択できます。メールでsalesに相談して決めることも出来ます。自分はsalesと相談してBass + Treble +という最も多く選ばれているパターンにしました。
カナル部分の長さも短め、普通(UEくらい)、長めと選択できます。プラグの接続部分も通常のカスタムと同じフロントマウントとプレート部分に接続部がくるトップマウントが選択できます。自分は慣れているのと、見た目からフロントマウントを選択しました。
とにかく色々と自由度が高く、カートで買うにしても選択項目が大変多い機種です。
ただし、オプション(アートワーク等)が異常に高い。全て付けたら余裕でもう一つ本体が買えます。
オプションでワイヤレスキットがありますが、ローが増えるのでワイヤレス運用前提の方はBass ±もしくは-がいいかもしれません。
■バランス
フラットもしくは弱ドンシャリ(Bass+ Treble+)
多少ハイ側の方が強い感じもするけれど、透明感のある綺麗な高音で刺さりは無いので聞いていて楽しい音。
全体的にこじんまりとしつつも楽しく聞かせるタイプであまり気構えず使える珍しい音作りのカスタムIEM。なんでも聞けますが、Popsやjazzが得意な感じ。オーケストラやドラムンベースは苦手。
■品質< 8 >
非常に光沢があり、透明感が素晴らしいシェル素材です。発色も良く、サンプル画像の色とほぼ同じです。粘度の高いコーティング剤を使用しているのかシェル表面は滑らかで耳への吸い付き感はかなり良い方。プレートとシェル本体の接合部分も綺麗に処理されており、低価格カスタムIEMとは思えない出来映えで、高級感があります。
シェル内側にSleek Audioロゴとシリアルがエッチングされています。名前やイニシャル記載は無し。
フィット感はかなり良い。回転コネクター採用の為、プレート部分が耳から少しはみ出るくらい大きいシェルですが、まったくぐらつかない安定感があります。AntiHelix部の処理といい、全体的にかなりアグレッシブな作りで補聴器メーカー系のシェルの作り方です。修正の必要なく一発でばっちりフィットしました。私は注文時にsalesにドラマー向けの遮音性重視のきつめ設定にて作成をお願いしましたが、ぴったりフィットの割に耳へのアタリが無く快適です。
ただし、カナル部分の長さを最長にしたので驚異的な長さになっており人によっては耐え難いかもしれません。先端部は第2カーブ近辺を上手に削ってあり遮音性と装着感を両立しています。私の耳穴は第2カーブまで太くまっすぐなので気にならないだけかもしれないのでここは参考程度にして下さい。
■解像度・分離<6.5 、7>
解像度はかなり高い方ですが、カスタムIEMの中では低いほうに入ります。ただし、解像度バリバリでモニタリング用という音作りではなく、音楽を楽しく聴くためのモノなので解像度が普通だからといって敬遠するのはもったいないです。モニター用途やステージ上で使用するのには不向きです。 全体的にこじんまりとした音作り(ただしとても元気な音)なせいか解像感が低く感じるのかもしれません。ポテンシャル自体は高いですが、それなりのアンプを使用しないと本領発揮しません。
また、ややフォーカスが甘い感じです。聞き疲れしないという意味では良いですが真剣に聞き込むとか、リファレンスにするという用途には使いづらいです。
分離は良いです。ただし打ち込み等で同時に多数の音が鳴っている場面では途端に限界が訪れます。とはいえ、帯域バランスが良好でもあるため音がダマになる感じは少なくすっきりと綺麗にボーカル、ドラム、ベース…と聞き分けられます。聞き流せる心地よい音ですが注意するとしっかり各楽器が分かります。
■能率
カスタムの中では鳴りにくい方ですが、全てのポータブル機器で問題無く鳴らせます。音量によっても帯域バランスが変化しにくいので、あまり気にしなくてOKな機種。ただ、もともとプロユースではなく音楽鑑賞向けなのでアンプを通したほうが本領発揮するような感覚はあります。
■ロー< 4 >
小気味よい、タイトでキレのある低音です。量自体はそこまで多くなく、普通です。元気な音ですが、よく制動されており質感は高いと言えます。
ただし、ローエンドは全く出ていないと言っていいと思います。景気よい低音がポンポン出るので初めはわかりませんが、よーく聞くと実は結構不自然(=作られた音)な低音です。シングルBAの宿命でハイ側を重視するとどうしても低音は沈み切りません。そこをバッサリ落ちる直前の所でかなり盛大に持ち上げて自然に聞こえるよう設定されているようです。
低音重視の方、打ち込みで特に低音メインのジャンルを良く聞く方には
全くおすすめできません。逆にそれらを重視しないようであればかなり小気味よい音とも言えます。
■ミッド < 5.5 >
マルチウェイBAでは必ずと言っていいほどピークが出てしまう帯域ですが、Sleek CT6 はシングルBAなのも手伝いミッドにピークが出ることはありません。特別なまめかしいわけでも、かさついているわけでもなくすごく普通に鳴らします。クールというよりかはややウォームな感じで女性ボーカルより男性ボーカルの方が向いています。正直、そんなに特徴が無いですがそれもまた良い点であります。
■ハイ< 7.5 >
CT6でもっとも特徴的なところです。繊細ながらも芯の通った非常に透明感ある高音で、BA的な金属的な音ではないので大変心地よいです。スカッと抜ける感じで、キンキンした感じはありません。モニター的ではなく、音楽的な鳴らし方です。清潔感ある高音とでも言えば良いでしょうか。
ハイエンドは出ていませんが、11.5kHz程度まではフラットに伸び続けているのでほとんど全ての曲で爽快な鳴りっぷりです。イヤチップが無いカスタムなのでユニバーサル版のSA6より高音も良くでますが、ピークはふらつきもなく大変優秀です。
■サポート等< 9 >
返事も速く、的確かつ親身になって答えてくれます。
企業としての姿勢が見えるようでとても好感が持てます。ただし、納期に関しては?なところもあります。バックオーダー大量の為、4週間かかるといっていましたが10日ほどで完成しました。(レビューサイトで使うから、有料のRushオプションは無いか?と聞いたせいかもしれません…)予定より早い分にはまったく問題ないですが、たまーに親切過ぎて聞いてもいないことまでだらだらメールしてくるときもあるのが玉にキズ。
それでもここのサポートより良いメーカーは今の所知りません。むしろこの低価格でここまでやって大丈夫?と心配になります。
■付属品
Pelican1010ブラックにSleek Audioの銘版とオプションのヘアライン名入れ銘版がついてきます。内部のスポンジクッションは特注のもので実用性も高く、おしゃれです。持つ喜びというか同じPelicanケースでも所有欲を満たしてくれる良いケースです。
それに加えてごく普通のwaxloopがひとつ付属です。なぜかケーブルとシェルがわかれた状態で到着します。左右表示があるので間違うことはありません。
■注意点
ケーブルが曲者。確かに細くてしなやかですが使いたくなくなるくらいふにゃふにゃです。iPod付属イヤホンのように垂らす使いかたなら問題ないですし、それを前提とした作りかもしれませんが個人的に×。また、ローエンドが絶望的なので曲によってはかなり違和感あることも。(私が低音寄りなのと良く聞くソースが低音重要な曲が多いということを差し引いても極低音はダメダメです。)うまくカバーしているようにも感じますが、うーん、と思う人はいると思います。
気のせいかもしれませんが、倍音成分が少なく感じます。その分、変な付帯音も無く素直ですが、個人的には少し気になりました。この倍音成分の鳴らし方からSonion製特注品かと思いましたが、真実は不明。
国内の量販店や通販でSA6のスペアケーブルがそのまま使えるのはカスタムIEMとしてはかなりのメリットですが値段が高すぎます!分岐部分にロゴがはいっていたり、凝った作りなのは良いですが分岐までがかなり長く使いづらいですし全体の長さもポータブルとしてはやや長めです。3.5mmプラグはストレートタイプです。これは好みの問題と思います。
■おすすめ度< 7 >
シングルBAとは思えない超広帯域、独特な元気な音ながらも癖無い音で、意外とくせ者揃いのハイエンドカスタムの予備としては最適です。これが一つ目でもそれなりに満足できるとは思いますが、Sleek CT6の良さを実感できるのはそこそこ以上のプレーヤーとポータブルアンプを持っていて、かつ既にover$1000クラスのハイエンドカスタムを持っている人だと思いますので、7という評価です。ただし、価格を考えるとシェルの品質とサポートの良さも相まって買って損はしません。海外でも悪い評判は聞きません。
迷ったら買う、というぐらいでも良いです。
癖は無い音ですが原音再生ともまた違う微妙に独特の音なのではまれば最高の機種ですし、そうでなくてもたまに聞きたくなります。特にながら聞きには最適です。疲れにくい装着感、音ですので末永く愛用できると思います。評価の数字自体は低めに書きましたが、なんだかんだで外出時は必ずバッグに入っているカスタムの一つです。
■おすすめ用途
・スポーツジムのお供に
・作業時のBGM用に(小音量でも解像度落ちない)
・ポータブルゲーム機に
・UE11や須山カスタム435等ハイエンドカスタムのサブに
・$200クラスのユニバーサルからのステップアップに
次回はUE4pro、UE7pro、須山カスタム各種の予定です。UE4pro分は既に書いてあります。